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INTERVIEW「テジナ」

《中毒性抜群!古くて新しい“イケてる”バンド「テジナ」とは》 

ビリビリビリ、と徐々に全身がシビれていく。体が勝手に動き出す。「えっ何これ、何この感じ、何かヤバイ!」。…あまりに感覚的過ぎて恐縮だが、これが筆者が初めてテジナのライブを観たときの正直な感想である。ポップなのにどこか歪んでて、曲調も歌詞も佇まいも、彼らが醸し出す空気はいたって堂々としつつも何か“変”なのだ。

その音楽性は例えるなら、初期フジファブリックを彷彿させる世界観に「アベック」や「花金」といった懐かしいワード、古い時代へのオマージュを感じさせる音使いを絶妙なセンスで散りばめ新しいサウンドに昇華した、“クセになる踊れるロック”。『RO69JACK 14/15 COUNTDOWN JAPAN』入賞や『出れんの!?サマソニ!?2015』最終選考にも残るなど、業界での評価も高いバンドである。そんなテジナの出会いから現在に至るまでのアレコレをいち早く探るため、ロングインタビューを行った。

取材・文/ 山田百合子 撮影/ 長塩禮子 撮影協力/ アンティークスカフェ

※写真《L→R》桐田太市(Dr.) 大坪拓矢(Vo.Gt) 黒田恵司(Ba.) 盆子原唯一(Gt.Key)

「テジナ」ができるまで

―それぞれが音楽を始めたきっかけを教えてください。

盆子原:僕は母親がピアノの先生なので、最初はずっとピアノやってたんです。で、中学生の頃先輩がゆずのコピーをやってるのを見て「ギターカッコいいな」と思って、アコギ始めて。1年後にGLAYにはまって、エレキ買ったんです。バンドを始めたのは中2からですね。

大坪:僕は昔から週刊少年ジャンプが好きで、中学生の頃、当時ジャンプには通販ページがあって、そこにギターが載ってるのを見て「なんかモテそうやなぁ」と思って(笑)。そこから仲いい友達と4人一緒にバンドやってモテようぜってなったのが、音楽始めたきっかけです。で、ボーカル決めるためにカラオケ行って、僕が一番歌が上手かったんで、僕がやることになりました。

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―へぇ!桐田さんはいかがでしょう?

桐田:俺は親父がバンドでドラムやってたんで、楽器が当たり前のように家にあったんです。で、親父が英才教育しようとしてて、気付いたら幼稚園のときからエレクトーン習ってたんです。けど周りも女の子ばっかだったし「もうやめてぇ」と思って。小学生くらいから親父のライブを見に行ってたんですけど、そのうち「エレクトーン嫌ならドラムやってみて」って言われて。やってみたらドラム面白いなと思って、そこからずっと叩いてますね。

―じゃあもう20年以上ドラムやってるんですね。ちなみにお父さんはどんなバンドをやられてたんですか?

桐田:親父は完全に永ちゃんのコピーバンドでしたね。その影響で永ちゃんも好きですよ。

―そうなんだ!じゃあ黒田さん。確かお兄さんの影響で始めたんでしたよね?

黒田:はい、もともとは小6か中1くらいのときに、お兄ちゃんにギター買わされたんですよ。「お前お年玉あるんやったらギター買わへんか」みたいな流れで買って。そしたらすぐお兄ちゃんに取られたちゃった(笑)。

―(笑)。兄弟仲悪いんですか?

黒田:いや、悪くないです!まぁ自分も大して弾けなかったし、そのまま放置してたんだけど。で、高校に軽音部があったんで、そこで音楽のことを思い出しまして…。兄貴もずっと楽器やってて、いつの間にかベースになってたんで、導かれるかのようにベースを手に取りました。

―なるほど。みんな子供の頃から自然と音楽に近しい環境にいたんですね。そこからどうやってテジナ結成に至ったんでしょうか?

盆子原:太市(桐田)とは保育園、小、中とずっと一緒なんですよ。僕がさっき中2で組んだバンドのメンバーの1人が彼で。

大坪:とんでもない腐れ縁やな(笑)。太市以外の3人は、大阪の音楽専門学校で初めて出会ったんです。そこで仲良くなったんですけど、当時僕と黒田は別のドラムと一緒にバンドやってて。卒業から2年くらいそのバンドでがんばってたんですけど、解散してしまいまして。

―太市さん、盆さんは?

桐田:俺はそのときもう東京出て音楽やってたんですよ。18か19才くらいのときかな。

盆子原:僕は専門卒業してすぐ、太市がいたから上京したんです。それで彼と一緒に別のバンドやって。

大坪:で、ちょうど同じくらいの時期にそれぞれのバンドがポシャってしまったので、ちょうどパートも分かれてるし、運命かなぁと思い(笑)結成を考えました。もともと太市以外の3人は仲良かったんで、まずここは一緒にやろうと。じゃあ太市はどうなのかって話になるんですけど…。

大阪までテジナの“オーディション”受けに行ったんです(桐田)

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桐田:俺大阪まで“オーディション”受けに行ったんですよ(笑)。自分だけまだ唯一さん(盆子原)以外とは面識がなかったので。

―オーディション!それで見事合格したわけですか?

大坪:はい。…でも最初は太市怖すぎて、ダメかなと(笑)。絶対ヤンキーやなって。

桐田:いやいやいや(激しく否定)。まぁみんなとはちょっと雰囲気違ったかもしれないけど。

盆子原:少し人種が違うかなっていうのはあったかも(笑)。

―(笑)。で、無事太市さんが加入し、ようやくテジナが結成されたんですね。バンド名の由来なんですが、最初は違う候補もあったとか?

大坪:みんなで100個くらい出したんですよ。それをトーナメント形式で競う形で。TV観ながらビュッと書いたりしてね。『空から日本を見てみよう』って番組やってたからそのキャラの「くもじい」とか、5秒に1個くらいのペースで(笑)。

(一同笑)―10個とか20個とかのレベルじゃなかったんですね。

盆子原:逆に出すぎて。でもその中にテジナってなかったんですよ。

大坪:結局、僕が渾身のやつを持っていった感じですね。何か短いやつがいいなと思って。でも全員一致で決まったわけじゃなくて、太市が言い出した「タコライオン」っていうのが最後まで残るという(笑)。「テジナ」と「タコライオン」で決勝戦でした。

―なんで「タコライオン」!?

桐田:いや、何も考えずにとっさにパッと言った中で、これだけツボってくれて(笑)。

黒田:1つだけ輝いてたんだよね。タコライオンが。

大坪:でも最終的に「タコライオンやったら僕やらへん!」ってなって、テジナに決まりました。

―テジナで良かった(笑)。でもホントにぴったりなバンド名ですよね。CDの帯にも“辞書通りの意味が込められている”って書いてありますが。ちなみに皆さんそれぞれ初対面の印象はどうだったんでしょう?

大坪:イイとこ突いてきますね~(笑)。

盆子原:僕と太市は保育園からの付き合いなんで、もうあんまり覚えてないけど…でもずっと変わらないかな。明るくて顔赤くて、太ってて…。顔テッカテカだった(笑)。

桐田:僕めっちゃ太ってたんですよ(笑)。僕から唯一さんへの印象は「冷静だな~」って感じ。

―大坪さんはいかがですか?

大坪:盆ちゃんは、専門学校で1人ずつ自己紹介したとき、いきなり「帰国子女です」とか生意気なこと言い出して。そこずっとアピってたんで「なんやコイツ」とか思って。イケイケな人やなって。襟足も長かったよな、髪。

(一同笑)

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盆子原:いや、覚えてほしくて(笑)。メッシュ入りのロン毛でしたよ、ホストみたいに。専門デビューですね。

大坪:それから学校の班分けで黒田と同じ班になって。全然しゃべらん人だったんです、当時から。でも話しかけてみたら結構面白くて、変な人やなって。言葉数は少ないけど、出す言葉は洗練されてるなと。

―当時からそこまで感じてたんですね。

大坪:太市はほんとに「怖い」って感じでしたね。金髪ショートで。オーディションでもドラムいい感じやったんですけど、人間的に大丈夫かなっていうので、心配してました。話し方も怖いし(笑)。

―話し方、今と違ったんですか?

桐田:いやいやいや。全然変わらないっすよ、このままですよ!

―黒田さんのメンバーに対する印象は?

黒田:いや、もう全員チャラかったですよ。髪染めて、パーマ当てて…。絶対分かり合えないだろうなと(笑)。

(一同笑)

桐田:よく一緒にやってくれたなぁ。

―太市さんはどうでした?

桐田:黒ちゃんはオーディションしにいったとき、俺もすごく緊張してて、当時2人(黒田、大坪)が一緒に住んでて、玄関開けたら、黒ちゃんが意外にハイテンションで出迎えてくれたのが印象的でしたね。「いらっしゃい!!」って。で、気さくな感じなのかなーって思って部屋に上がったら、その後もうずっと「……(黙って動かない)」みたいな感じで(笑)。もう「えぇ~!!」って。

(一同爆笑)

黒田:最初で全力を使い切ったんです。

桐田:でもまぁ、不思議な雰囲気を持った人だな、と。拓ちゃん(大坪)はしっかりしてるっていう印象でした。

盆子原:俺はコイツ(大坪)と仲良くしてたら自分もモテるかなと思ってました。

黒田:お互いイケイケだと思ってたん(笑)?

―盆さんの黒田さんの印象は?

盆子原:みんなと同じ感じでしたね。しゃべらないけど、何かしたら面白そうだなぁと。

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歌詞書いててハマったとき文字が光るんです、本当に。色は金(大坪)

―なるほど。何だか皆さんが醸し出す独特な雰囲気の原点が分かったような気がします(笑)。ではここからは音楽についてのお話を。今曲作りはどんな流れでやってるんですか?

大坪:基本は僕がDTMで曲と歌作って持っていって、みんなで仕上げていく感じです。基本はそれなりに作り込んでいくんですけど、各パートの細かい部分はそれぞれに任せてますね。

―人気曲「君はテレプシコーラ」のギターソロは…?

大坪:あのギターソロは僕が作りました。曲が完成するまでは結構苦労したよな。めっちゃ演奏して、紆余曲折して。結局盆ちゃんの考えたアレンジで、曲の構成が決まったのかな。

盆子原:みんなでセッションを繰り返して…。完成するまで3ヶ月くらいかかりましたね。

―そうでしたか。あの曲、サビはもちろんギターソロやイントロ、メロディ、本当に全ての要素でゾクゾクして踊れて素晴らしいと思います。最後までサビがこないのも最高かと。

大坪:あの曲は人気高いです(笑)。みんないいって言ってくれますね。

―ですよね!で、作詞作曲を担当している大坪さんにお聞きしたいのですが…。テジナの歌詞って、かなり独特だと思うんです。心にスッと入ってくるストレートな歌ももちろんあるのですが、韻の踏み方や言葉の選び方、含みを持たせた表現が際立ってるなぁと。あの歌詞はどうやって作られているんですか?

大坪:基本は言いたいことを言ってるっていうスタンスなんですけど、リズムとか音程にハマる言葉がたまにフッと出てきて…。何回も書き直すこともあるんですけど、ハマったとき文字が光るんですよ、ホントに。それを入れていく感じですね。

―ほんとですか!?天才肌…。自分も文章書いてるからハマるっていう感覚は多少分かるんですけど。光らない(笑)。何色に光るんですか?

大坪:金色です(即答)。※メンバーも否定しない。「見たことないんで(笑)」とのこと

―…なるほど!…ちなみに曲と歌詞ができる順番は?

大坪:まちまちですね。サビのメロディからできることもありますし。ただどんな時でもテーマが先ですね。上京だったり、例えばまず中華街について書こうっていう漠然としたテーマがあって、そこから曲なり詞なりができていく感じで。

最近は“寂しい”というテーマがほとんど。自分は1人で、でも周りは何でこんなに楽しそうなんだろうって(大坪)

―実体験があったり、妄想を膨らまして書いたりするのかな?という両方のエッセンスが感じられて、それが面白いと思うのですが…。

大坪:そうですね。そんな感じです。例えば僕、道行く人を観察するのが好きなんですけど「その人が何を考えてるのか?」を考えたりとか(笑)。そこから1曲生まれることもありますね。まぁ最近は“寂しい”というテーマがほとんどなんだけど。

―そうなんですか?

大坪:自分は1人で、でも周りは何でこんなに楽しそうなんだろうっていう…。でもそれもある種実体験から派生してる妄想なのかもしれないですね。

―なるほど…。大坪さんの歌詞って、それに加え「何かを隠したいのかな」って感じるところがあるんですよ。意識的に含みを持たせてるんだろうか、自然とそうなってるんだろうかとか、がちょっと気になります。

大坪:何ていうか、そのままあからさまに出すのがっていうのがどうも…。もったいぶってるわけではないんですけど、できたら聴き手にもいろいろ想像してほしいなっていうのもあるので。今はそうなってますかね。

―いつかさらけ出しちゃうかも、みたいな感じってあります?

大坪:もしかしたらそういう日も来るかもしれないけど、基本的にはしたくないですね。ダブルミーニングを持たせたいというか。

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―そうか、でもそこがテジナのオリジナリティにつながってますもんね!では、ここからはバンドの世界観に一貫して感じられる“古くて新しい”というテーマについてお伺いします。例えば「アベック」など、今のテン世代では使わないような古い言葉やどこか昭和の香り漂うダンスロックが、音楽の特長として挙げられると思うのですが…。

大坪:最初テジナ始めた頃はそういう気持ち全くなかったんですけど、だんだん「死語」みたいなのにハマり出して、結構どの曲にも散りばめてるんですよ。最近作った曲だと「トッポい」とか(笑)。「いい言葉なのに、何で死んだんやろな」みたいな気持ちがあるんですよね。使ってないだけで、知ってるじゃないですか、実はみんな。またそこに焦点当たらんかなっていうね。まぁそこまで強く思ってるわけじゃないんですけど。

―なるほど。その意識ってメンバー全員に共通してるものなんですか?

大坪:みんなはそうでもないんじゃないかな。

桐田:ですね。拓ちゃんがそういうのを表現したいっていうイメージが伝わってくるから、それを形にしてる。

盆子原:僕らもみんなそれを「いいな」って感じるからやってますね。

―大坪さんの趣味嗜好と言ったらちょっと語弊があるかもしれないけど、そういうものがすごく反映してるバンドなんですね。

大坪:はい、そこは自由にやらせてもらってますね。

見えないかもしれないけど、潜っていくと居るんですよ、僕の中に基央とカート・コバーンが(大坪)

―大坪さんは以前、最近聴いている音楽はオメガトライブやTOM★CATと言っていたのですが。そういう80~90年代の日本のバンドの、いい意味でちょっと「変」でダサかっこいい曲の雰囲気って、テジナの世界観にも通じてると思うんです。けどこないだ「俺は藤原基央とニルヴァーナからできてるんじゃないだろうかってホント思うときがある」と話していたのがとても意外で印象的だったのですが、覚えてます?

大坪:あぁ(笑)、覚えてますよ。

―で、テジナの曲に彼らの影が見えるかというと、むしろ表現方法としては離れているかなぁと思って、とても興味深く思ったんです。その発言の真意を聞かせてもらえると嬉しいのですが…。

大坪:そうですね…。まぁ多感な時期に聴いていたアーティストなんで。今はいろんなものを知ってしまって、客観的に見ると見えないかもしれないんですけど。潜っていくといますよ、基央とカート・コバーンが。もうちょっと潜れば、いるんです。

―その彼らのどういうところに惹かれたんですか?

大坪:聴いていた環境も大きいと思うんですけど、BUMP OF CHICKENに関しては物語系の歌詞が良かったり声も良かったりで。で、カート・コバーンは曲と声がいいのはもちろん、あの佇まいというか、プラスアルファの部分でも感動したというか…そんな感じですね。

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―また大坪さんは志村さん時代のフジファブリックが好きで、メンバーのみんなにも聴いてもらって、バンド共通のフェイバリットとして挙げてますね。

大坪:志村さんって実は孤独で根暗で、そういう所が自分と似てると感じたんです。「ずっと僕が思ってたことを歌ってる」みたいな。言葉の選び方とかにすごい共感ができて。

―曲は何から聴き始めたんですか?

大坪:「虹」ですね。それがラジオで流れていて「何なんやろ」ってなって掘り下げていきました。バンド共通で好きっていうのは、フジファブリックとか東京事変とか、マジでそれくらいしかないと思います。

盆子原:僕はテジナを組むなら聴かな、と思って。ちょうどそのくらいの時期に亡くなっちゃったのかな…でもそこからハマって。みんなもそんな感じです。

多様なバックグラウンドが織りなす化学反応

―じゃあこの流れで、みなさんの音楽人生に影響を与えているアーティストを教えてもらえればと思います。

盆子原:もうメチャメチャいるんですけど、はじめに話した通りゆずとGLAYは好きですね。テクニック系に走ったきっかけはヴァン・ヘイレン。そこからはもう速弾きしかしてないです(笑)。

―クラシックも聴かれてるんですよね?

盆子原:クラシックは昔は最初聴いてなくて。ピアノも6歳くらいでやめてるんですよ。20才過ぎて上京して『のだめカンタービレ』のドラマ見て、こんなにいいものだったんだって思って。だから比較的最近ですね。

―なるほど。太市さんはどうでしょう?

桐田:まずレッチリのドラマーのチャド・スミスですね。彼はすごく巨体でパワフルなドラマーで、音がすごく好きなんです。デニス・チェンバースは、子供の頃ドラム習ってた師匠が薦めてくれて、聴いたり勉強したりしてました。デニチェンも同じく巨体なんですけど(一同笑)、彼は逆に繊細なプレイをするんです。すごいことを軽くやってのける、神様みたいな人ですね。後は唯一さんの言ってたヴァン・ヘイレンなんかを小学生のときに聴いてましたね。

―小学生!随分渋いですね。

桐田:そこからハードな方に走っていって、ハードロック聴いたり、メタル聴いたり…。どっちかというとポップなのものよりは、家で常に洋楽がかかっているような環境だったんで。洋楽をバンバン聴いてましたね。

―邦楽は全く聴かなかった?

桐田:いや、みんなが聴くようなやつも普通に聴いてましたよ。

―並行していろいろ聴かれてたんですね。あとはジョン・ボーナムとか…?

桐田:ジョン・ボーナムは親父がツェッペリンやDEEP PARPLEを好きだった影響ですね。メタルは唯一さんから初めて聴かせてもらって、衝撃を受けて聴き始めました。あとはチルドレン・オブ・ボドムとかも聴いてましたね。

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―お父さんの影響、やはり大きいんですね。黒田さんは?

黒田:もともと僕はオリコンチャートが好きで、TOP20みたいなのを毎週ラジオで聴いてました。もうひたすらMCなしで音楽だけ流すような。みんな聴いてるのを聴いて、落ち着くって感覚でしたね。単純に楽しかった。

―そうか、他のメンバーとは少し違った聴き方をされてたんですね。ちょっと脱線しますが、弾き方特徴的ですよね。

大坪:たまに気持ち悪い、とか言われてるよな。笑ってるし(笑)。

―いや、楽しそうでいいなぁと思いますよ!

黒田:いいんですよ。(気を遣わなくて…の意で優しく)

―いえ、ほんとに!ステージの下から観てると、みなさんが楽しそうにセッションしてる姿って、本当に素晴らしいんですよ。とっても幸せな気分になれて、楽しくて。なので黒田さんは確実にその大きな一端を担ってると思います。

大坪:ですよね(笑)!

―はい。いずれにせよみなさんの多様なバックグラウンドが、まさに手品のような化学反応を起こしているんだなぁと感じました。

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“芸術はエロ”。改まって言うこともない結論だと思ってます(大坪)

―では、もう少しテジナの音楽性について触れていきたいと思います。実はこう感じてる人、案外いる気がするのですが、テジナの音楽って、どこか人の無意識に訴えかける魅力…言ってしまえばそこはかとなくエロスの要素を感じるんですよね。別に具体的にエロいことを歌ってる訳ではないと思うんですけど…その辺りの認識は合ってますか(笑)?

大坪:はい(笑)。

―「君はテレプシコーラ」なんかは少し想像できるヒントがあるかなって思うんですけど、他の曲では直接的に歌ってないのに、何か匂い立つものがあるというか…。ライブはもちろんそうですし、音源で聴いてもそうですし。で、以前大坪さんは“芸術はエロ”って言っていたと思うんですけど、その辺りの意識をもう少し聞きたいなぁと思って。

大坪:まぁ、改まって言うことでもないですけどね。結論ですから。

―そうですか(笑)。でもそういうのって、やりたくても誰でも表現できるものじゃないと思うんですよ。何となくいつ頃からそういう自覚というか、意識的に見せようという気持ちが出てきたタイミングはないですか?

大坪:…根本は最初に言った「モテたいから」って所から始まってるんだと思うんですけど。音楽に限らず、芸術はエロっていう意識があって…。作品っていうのは受け手があって、初めて成り立つ、評価されるものだと思うんです。で、また最近「モテたい」って気持ちが復活してきて。エロさを嗅ぎとってもらってるなら、そういう気持ちから派生してるのかな、と。もちろんモテたいだけではないし、まだちょっとしか出せてないですけどね(笑)。

―なるほど。ちなみに友人知人の男性に結構テジナの音楽聴いてもらってるんですけど、男性でもそういう所に反応する方いますよ?音楽好きな人がギターソロとか聴いて「エロいね~!」とか。

大坪:そうですか?あんま実感したことないけど…。そこを感じとってもらえたなら嬉しいです。やっぱり男女問わず“魅了”はしていきたいですね。

路上ライブしたことなかったんで、これが初だったんです・笑(大坪)


―新作MV「バブルをもう一度」についても伺いたいです!あの衝撃の…(笑)。光GENJI世代、というかドンピシャで彼らのオマージュなのかなと思ったんですが…。

盆子原:はい、光なんちゃらの(笑)。

―撮影場所は阿佐ヶ谷と東京ドーム付近?

大坪:そうですね、阿佐ヶ谷のお祭りの前日にエリザベス宮地さんに撮っていただきました。

―素敵なダンスシーンがありますが、振り付けは誰が?

大坪:最初宮地さんが考えて、あとは太市がアレンジ加えたんだよな。

桐田:黒ちゃんも考えてたっすよ(笑)

―みんな多彩(笑)。…死んじゃってましたけどね、黒田さん…。

大坪:…申し訳ないとは思ってるんですけどね。

(一同爆笑)

大坪:打ち合わせのときアイドルの話が出て、落ちぶれるっていう筋書きになったんですけど、「なぜ落ちぶれるのか」って話を突き詰めていったら、誰か多分死ぬよねって話になって(笑)。

太市:最初は俺が死ぬ予定だったんですよ。

―何で黒田さんに?

大坪:何か一番死にそうな顔してるんで(笑)。

―あはは!あれは死因“酒”ということでよろしいでしょうか?

黒田:はい。

大坪:親御さんには申し訳ないんですけどね。

―まぁでも目立ってますから(笑)。全部ゲリラ撮影ですか?

桐田:はい、お笑い芸人ですか?とか聞かれて「いや、バンドなんすよ」とか答えながら。最初普通に観客がいて、物珍しそうにしてたんですけど、途中でみんな慣れちゃって(笑)。

―そうなんだ(笑)。宮地さんが手がけてきたMV「ユーのダンス」も「家」も、ホント面白いですよね。ストーリー性があって。次はどうなるのか…。

(一同笑)

盆子原:どうなるんでしょうね!ここまで来たら…。とりあえず今回みたいのはもうやりたくないですね(笑)。

―MVの中でマネージャーの輝さんも出てたけど、通りすがりのおばさんや親子連れとかが「うそ…!」ってなって、写真撮ったりしてましたよね。あれは?

大坪:全部通りすがりの人のリアルなリアクションです。僕ら路上ライブとかやったことないから、今回が初という…(笑)。

盆子原:メッチャメチャ恥ずかしかったですね。商店街の入口でやってて。すごい邪魔なんですよ。精神的にもギリギリの状態でやってて、したらおっちゃんに「邪魔だよ!」とか言われて。心折れそうになりましたね。でもひたすら踊ってました(笑)。

大坪:電車もあの衣装のまま乗りましたし、メンタル鍛えられましたね。

―(笑)。では話は変わりますが、最近ライブで披露している新曲「イケてるルージュマジック」のことを聞かせてください。あれは忌野清志郎さんの「い・け・な・いルージュマジック」からタイトル取ってるんですか?

大坪:はい。曲調は全然違いますけどね(笑)。

―すごくスリリングでかっこいいですよね。いつどんな流れで出来たんでしょう。

大坪:ありがとうございます。テンポの早い曲がほしいなと思ってて。それで着手し始めたんですけど…。

盆子原:メチャメチャ最近できた曲ですね。

大坪:僕の中ではよくあることなんですけど、女の子を見て、普段は口紅なんかしない人が、真っ赤な口紅を塗ってきて、どうしたん?みたいな曲ですね(笑)。イケてるやん、その魔法にかかっちゃったよ、みたいな。

―(笑)そうでしたか!思いついてから出来上がるまでって、早かったりするんですか?

大坪:デモの段階では結構早かったですね。ライブでよく一曲目にやるんですけど、テンション上がります。

メンバー自身による「イケてるルージュマジック」楽曲解説!

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大坪:元々テンポ速い曲やりたいなと思って作り始めました。テンポ速い=ドキドキかなっていうので、自分がどういう時にドキドキするかを思い返してみると、真っ赤な口紅が似合う人にドキドキするなぁと思い至り、それをテーマにしました。 心情を現している間奏がお気に入りです。

盆子原:演奏難易度 ★★★☆☆ 1,2,3弦しか使ってないくらい上の方でチョロチョロしてます。サスティーンを大事にしたフレーズが印象的♪ サウンドに関しては割とゲインは抑えめで、ロングディレイによる奥行きでロングサスティーンを演出!シンセとギターで同じメロディを聴けるこの曲必聴です♪

桐田:楽曲が結構テンポ早めでサビで4つ打ちしてるんで乗りやすい曲だと思います!ノリノリで叩くので、皆さんもノリノリになってくれたら幸いです。

黒田:古臭さ香り立つ曲ですが、途中ワケワカランことになるのでライブで聴く際はご注意ください。
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イベント超気合入ってます。次に繋がるライブにしたい(盆子原)

―それでは、9月23日に吉祥寺Planet Kで開催される自主企画イベントについても聞かせてください。なぜこのタイミングでやろうと思ったんでしょうか?

大坪:もともと1年くらい自主企画とか能動的なことをしてなかったので、ここらでちょっとやろうかなと。ありがたいことに僕ら結構ライブに誘ってもらうことが多くて、やりたいバンドと対バンできる機会も増えてきたんですけど。それだけじゃなくて、今一番一緒にやってみたいメンツで企画やったらどうなんだろう、と思って、素晴らしいバンドに集まってもらいました。

―なるほど。予約特典でPASSがもらえるんですよね?

盆子原:そうですね、スタッフパスみたいな。僕の渾身作ですよ(笑)!

―意気込みの程はどうでしょう?楽しみにしてる方が沢山いると思うのですが…。

盆子原:メッチャ気合入れてますよ。ここから次に繋がるような、ここから始まる感が出せるライブにしたい。

桐田:お祭りみたいな感じにしたいですね。お祭り騒ぎで、みんなで楽しく、気合を入れてがんばりたいです。

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月並みだけど質にこだわりつつ、もっと大きなバンドにしたい(大坪)

―では、最後に今後の展望や活動への意気込みをお聞きしたいのですが…盆さんいかがでしょう?

盆子原:そうですね。もちろん沢山ライブやって、もっとテジナの音楽を多くの人に聴いてもらいたいっていうのはあるんですけど。面白いこともしつつ…。実は個人的な野望もあって、僕のギターキッズを作りたいんですよ!

―なるほど!素晴らしいです。なれそうですよね、超絶技巧の盆さんなら。

盆子原:僕自身もそうだったんで。男の子のお客さんとかに「盆さんのギターコピーしよう」って人がいてくれると嬉しいですね。あとは鍵盤もがんばって、ギターもがんばって。

大坪:僕ももっと大きいバンドにしたいなっていうのはありますね、質にもこだわりつつ。月並みな言葉ですけど。新しい音源も作りたいですし…。よりバンドを洗練させていきたいなと思ってます。

―じゃあ太市さん!

桐田:もっと勢力的に活動して、少しでも多くの人に知ってもらえるような活動をしていきたいですね。

―例えばこのイベントに出たい、このハコでやりたい!っていうのはないですか?

桐田:東京ドームっす(笑)。

―7日間連続で(笑)!(※MV「バブルをもう一度をご覧ください)最後に黒田さんは?

黒田:ただちに音源を出せますようがんばります。

盆子原:「出せますよう」って(笑)。

大坪:もう後は祈るだけやな(笑)。

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テジナ:http://tejina-music.com

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