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LIVE REPORT 中村翔『Yellow Blues vol.2』@下北沢440

5月26日、下北沢440にてLoostripper presents「Yellow Blues vol.2」が開催された。この日は主催者のLoostripperをはじめ、サトウリュースケ&上々Brothers、中村翔with米本美彦(Dr.)高宮博史(Cb.)石川さやか(Pf.)という、ギター1本のアコースティックでも、バンドでもそれぞれの色や表情を見せてくれる、確かな腕を持つ3組が出演した

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今回ライブの模様をお届けするのは、そのトップバッターを務めたシンガーソングライター・中村翔。数年前、彼の声を初めて聴いた時、「太陽みたいだな」と感じたことをよく覚えている。その声は、今も変わらずあたたかく響く

新曲「Smile」からライブは始まった。彼の詩を辿っていると、歌の中に人物の表情が浮かび上がる瞬間がある。それは筆者に限らず、聴いている人たちそれぞれが傍にいる誰かの表情を思い浮かべながら聴いているような、気づけば会場の空気はそんな柔らかさに変わっていた。

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この日は全曲、ジャズなどのジャンルでもよく使用されるセミアコースティックギター、Gibson ES-335で演奏された。「深夜行路」はこのギターならではの音色に包まれることで、夜の色が深まるようだった。 続いて披露された「I’m Waiting For You」。この曲は個人的にふと鼻歌で歌ってしまう好きな曲で、シンプルなメロディーがとても綺麗な1曲だ。

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ライブ後半は「会いに行くよ」「奇跡」と、新曲が続けて演奏された。石川さやかのピアノの柔らかい音や楽しそうで無邪気なキラキラとした音、そして高宮博史のコントラバスがおおらかに深く響き、米本美彦のドラムとパーカッションが繊細さと力強さの二面性を持つリズムを刻む。その感触はとても気持ちよく、新しい歌の景色をどんどん広げていくようだった。

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そしてラストは「星の陽炎」。先に彼の声のあたたかさのことを書いたが、この歌のようにラテン調の曲に彼の声が乗る時、それはとても色気のある声に聴こえて驚く。ジャンルレスな音を創り続けることができるのは、あたたかさのある声の奥に、いくつもの表情があるからこそできることなのかもしれない

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2016年7月27日(水)には初の全国流通盤となるニューアルバム『RE:BEST』が発売される。その2日後の7月29日には下北沢440でレコ発ライブも行われるので、ぜひ彼の音楽を、ライブハウスという生の空間で味わってみてほしい。

【SET LIST】
Smile
深夜行路
I’m Waiting For You
会いに行くよ
奇跡
星の陽炎

中村翔 Official Website

文・撮影/長塩禮子